家庭科 衣生活分野・住生活分野 e-Leaning

生活分野

環境共生と衣生活「持続可能な衣生活を目指して」

対象学生以上

題材について

1.生徒観
 本学級の生徒は,「衣生活を豊かにする」ことについて,リサイクルや譲り合い,大切に使うことなど持続可能な社会につながる考え方を多く挙げており,SDGsや環境問題に対する関心や理解は高い。実際に,SDGsに関心をもつ生徒や環境問題を身近な課題として捉えている生徒の割合も高く,環境への意識は一定程度育まれていると考えられる。
  一方で,衣服の購入実態を見ると,安価で流行を重視したファストファッションを利用する生徒が多く,SDGsの理念と自らの消費行動とのつながりを十分に認識できていない生徒が多いことが明らかになっている。着なくなった衣服の処理方法については「譲る」という回答が多く,処理段階での環境配慮の意識は見られるものの,衣服を購入する段階から環境への影響を考慮するまでには至っていない実態がある。
  このことから,本学級の生徒は,環境問題やSDGsを知識や意識の段階では理解しているものの,日常的な衣服の購買行動が環境破壊や労働問題とどのようにつながっているのかについて,自己の生活と関連付けて捉えることに課題があると考えられる。本題材を通して,生徒が自らの衣生活を見つめ直し,衣服の選択や購入を含めた消費行動とグローバルな課題との関係に気付き,持続可能な衣生活の実現に向けて主体的に考え行動しようとする態度を育成したい。

2.教材観
 本題材は,学習指導要領「B 衣食住の生活(5)生活を豊かにするための布を用いた製作」にあたる。ここでは,生活を豊かにするための布を用いた製作について,課題をもって製作する物に適した材料や縫い方,用具の安全な取扱いに関する基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け,資源や環境に配慮して製作計画を考え,製作を工夫することができるようにすることをねらいとしている。

3.指導観
 本題材では,生徒の身近な衣服購入の実態から出発し,自分たちの生活と世界の環境・労働問題とのつながりに気付かせることを重視する。そのために,ドキュメンタリー映画『ザ・トゥルー・コスト』の映像資料を活用し,安価な衣服の背景にある問題を視覚的に提示することで,生徒に衝撃と問いを与え,課題意識を喚起する。知識を一方的に伝えるのではなく,映像から得た気づきや疑問をグループで共有し,対話を通して考えを深める学習活動を中心に据えることで,生徒が主体的に課題を発見し,自らの衣生活を見つめ直すことを目指す。
  また,発見した課題を知識の理解にとどめるのではなく,具体的な行動へとつなげることを大切にする。不要になった衣服の再利用やリメイクの計画を立て,被服実習を通して実際に手を動かす活動を行うことで,衣服を最後まで活かすことの価値や,素材を活かす喜びを体験的に学ばせたい。さらに,作品の鑑賞や振り返りの活動を通して,計画・実行・省察の一連の学習を位置付け,自らの消費行動を見直し,持続可能な衣生活を実現しようとする態度の育成を図る。

題材の目標

  • ファストファッションがもたらす環境問題や労働問題を知り,持続可能な衣生活の重要性を理解する。《知識及び技能》
  • 自らの衣生活を振り返り,課題を見出して,資源や環境に配慮した衣服の再利用計画を立てることができる。《思考力・判断力・表現力等》
  • 衣生活と社会との関わりに関心を持ち,よりよい社会の実現に向けて,主体的に問題解決に取り組もうとする。《学びに向かう力・人間性等》

題材展開(全4時間)

  • ファストファッションの現状を知り,リサイクル素材から服の素材を生み出す実験をする 授業課題として,衣服のリメイク計画を立ててくる(本時)
  • 被服実習:リメイクに挑戦!(製作)
  • 被服実習:リメイクに挑戦!(製作・仕上げ)
  • まとめと発表(作品鑑賞,振り返り)

本時

1.本時の目標
資源や環境に配慮した衣生活をおくるためにできることを考える。

2.本時の流れ
時間 (分)〇主な学習活動 ●指導上の留意点 ★評価の観点

5分


  • 衣服の購入について振り返る
  • 「いつもどこで服を買う?」という発問に対し,意見を発表する
  • ファストファッションの特徴(安価,流行)を確認する。

めあて
「資源や環境に配慮した衣生活をおくるためにできることを考えよう」

  • 生徒が答えやすいよう,ICT端末にて匿名で記入できるサイト「Mentimeter」で,意見を集める。
  • 特定のブランドでの購入行為を否定するのではなく,消費行動の傾向として捉えさせる。
3分
  • 映画『ザ‧トゥルー‧コスト』の予告編を視聴する。
  • 華やかなファッションの裏側にある,環境破壊や労働問題について読み取る。
  • 視聴前に着⽬点(環境,⼈権など)を提⽰し,⽬的意識を持たせる。
  • ⾐服の⽣産背景にある環境負荷や労働者の⼈権問題に関⼼を持って視聴している。【関⼼‧意欲‧態度】
10分
  • グループ活動
  • 動画を見て気づいたこと,ショックだったこと,疑問に思ったことをグループで出し合う。
  • 「私たちに変えられることはないか」を話し合い,様々な解決⽅法 (購⼊減,再利⽤,譲渡,リサイクルなど)を検討する。
  • 話し合った内容を模造紙にまとめて発表する。
  • 机間巡視を行う。議論が停滞しているグループには 助⾔をする。
  • 多様な意⾒を認め,多⾓的な視点から問題を捉えられるようにする。
  • 映像から得た情報をもとに,現状の問題点を捉え,⾃分の考えを⾔葉で表現している。【思考‧判断‧表現】

5分

  • 服の生産を取り巻く問題に関する講義
  • ファストファッションの裏側に関して,動画の内容を絡めながら説明をする。

  • 短時間で簡潔に説明をする。
  • 衣服の生産と環境・労働問題との関係を理解している。【知識・技能】

5分

  • 自分たちにできることに関してまとめる
講義

  • 持続可能な衣生活のためにできる行動を理解し,模造紙に書いている。【知識・技能】

10分

  • 服の素材に関する説明・実験をする
  • ペットボトルから綿(わた)を生み出す実験をする
 

10分

  • 使わなくなった服のリメイク計画を立てる
  • 様々な改善方法の中でも,衣服の「再利⽤」に焦点を当て,着なくなった⾐服をリメイクし 再利⽤することの意義を考えさせる。
  • 自分が持っている不要な衣服を思い起こし,どのように再利用したいかを計画する(例:トートバック)
  • 簡単なリメイク作品や方法を教師が提示して,生徒が選択できるようにする。
  • 不要な衣服を資源として生かす方法を具体的に考えている。
【思考・判断・表現】

2分

  • 振り返りと予告
  • 本時の学習を通して感じたことや,これからの⾐⽣活で意識したいことをワークシートに記⼊する。
  • 次時は,被服製作計画を基に,実際の被服製作を進めることを知る。
  • 次時以降,⾃分が計画した⾐服を実際に持参するよう連絡を受ける。
  • 本時の「気づき」を,次の「実践(リメイク)」に繋げる意識付けを行う。
  • リメイクの素材となる⾐服の条件を明確に伝える。


必要なもの

  • 自立するスライド(黒板を空ける)模造紙×4
  • 磁石
  • ペン×4
  • 付箋たくさん
  • 実験に必要なペットボトル,割りばし,両面テープ,飲み物の缶,モーター
  • リメイク作品の例

教材データのダウンロード

授業の概要(PDFデータ)
授業プリント(PDFデータ)
「持続可能な衣生活を目指して」スライド(PDFデータ)

教材作成

横浜国立大学 薩本研究室