衣生活分野
伝統文化「浴衣ワーク」
対象学生以上
授業の趣旨
授業の流れ
附属横浜中学校での授業実践
横浜国立大学教育学部附属横浜中学校での浴衣の着装実習の授業実践は附属横浜中学校の技術・家庭科(家庭分野)の教諭と教員養成課程をもつ大学の連携授業として実施した。大学からの外部講師がきもの文化に関するミニ講義を行った後、大学生のTA(予め大学でゆかたの着装技能をトレーニング※1)が浴衣の着装示範と班ごとの着装指導を実施している。着装後は浴衣の着心地を感じてもらうため何らかの着装後のワークを実施している。今年度は着装後にお辞儀ワーク※2を実施した。
※1:トレーニング用e-learning教材サイト: http://kimono-bunka.ynu.ac.jp/kikata.html
授業中のTA学生の示範の様子http://ynu-satsumoto-labo.ynu.ac.jp/how to wear yukata/index.htm
※2:お辞儀ワーク用 e-learning教材サイト(TA学生による授業中の様子):
http://ynu-satsumoto-labo.ynu.ac.jp/bow-work/index.htm
また、きものの文化面の学習として祝い着の模様に着目した「模様ワーク」に関する授業研究を卒論の一環で教材を開発し、授業を計画し、実践した。
授業実践内容
- 計画・検討
中学校教諭ときもの文化を題材にする意義や目的、必要な教材等について協議し、TAには着つけの事前トレーニングを実施した。具体的な時間数、日程などについて打ち合わせした結果、衣生活の導入の授業は中学校教諭が実施し、その後の「きもの文化」に関わる授業は全3時間の授業計画を立てた。
- 指導案作成・準備
1時限目の授業は2時間続きの授業とし、「ゆかた」の着付けの授業を中心に、指導案を作成した。また、授業を行うにあたって必要となるワークシートおよびアンケートの作成、事前の生徒たちの身長の分布の把握(中学校教諭に調査を依頼)およびそれに基づいた「ゆかた」および帯などの備品の必要数量の確認と準備、TAとなる学生に実習直前に2回着付けのトレーニングを実施し、e-learning教材で復習をしておくように依頼した。
- 指導案
1 日時 ○年○月○日 第○校時
2 学年 1年○組
3 場所 多目的ホール・教室
4 題材名 「日本の衣文化に触れよう」
5 学習計画
時間 題材 内容 1 時限目
(2時間)着物に関する講義 - ゆかたの着付け
- 男女の浴衣の示範
- お辞儀ワーク
- 着物の歴史と着物の種類とTPO、日本の伝統色・文様、ゆかたの各部の名称、男女のゆかたの違いなどに関するミニ講義
- ゆかたの着付け・お辞儀ワーク
2時限目
(1時間)- 模様ワーク
- 模様ワーク
- 自分が将来着たいきものの模様を構想
(a)1時間目
6 題材観
きものは日本の伝統的な衣服であり、他国にも誇れる美しい文化である。現代でも結婚式や成人式など、様々な場面にきもの文化が根付いている。しかし、家庭や地域でのきもの文化の伝承が行われにくくなり、生徒がきものに触れる機会はとても少ないと感じる。
この題材では、私たちの最も身近にあるきものであるゆかたに焦点を当て、日本の伝統的な衣服や日本人の考え方などを感じさせることをねらいとしている。実際に生徒全員がゆかたを着てみることで、ゆかたの特徴、自身の見え方や気持ちの変化を五感で感じさせ、きもの文化の良さを味わってもらいたい。また、きものの構成や文化を学習することで、日本人が古くから持つ「物を大切にする」という考え方についても触れていく。きものを通して日本の伝統を学び、きもの文化を自身と結びつけることで、これからの生活をより豊かにする手立てとしてほしい。
7 本時目標
・ゆかたを着た時の自身の気持ちやゆかたの特徴を味わう。
・ゆかたの着付けの手順を理解する。
8 本時展開
時間 生徒の学習活動 指導上の留意点 導入
(10分)- 自分のサイズの浴衣と小物を受け取る。
- 事前に教室に浴衣セットを、男女ごと浴衣のサイズ毎に並べておく。
- 男女で別れ、自分の適合サイズの浴衣と帯等の小物を持たせる。
- 大学からの外部講師とTAを紹介し、本授業の流れを確認する。
- TAを紹介した後、本時の流れを説明する。
展開
(30分)- 着物に関するミニ講義を聴く。
- 着付けの示範を見てポイントを確認し、理解する。
- 着物について(歴史、種類、ライフイベント、浴衣)、平面構成と立体構成。浴衣が最もカジュアルな着物であることを意識させ、男女の浴衣の違いや特徴を理解させる(ミニ講義用パワポ)。
- 男女のTAが浴衣の着付けを示範しながら着付けのポイントを生徒に確認させる。
http://ynu-satsumoto-labo.ynu.ac.jp/how to wear yukata/index.htm
(30分)
- グループに分かれ、ゆかたの着付けを実践する。
- グループに分け、教師およびTAが助言をしながら、ゆかたの着付けを始めさせる。
- 生徒同士で着付けを確認したり手伝いをしたりして着付けるよう指導する。
- 着付けが完成した生徒には、自分の姿を鏡でチェックしたり、他の生徒の様子を見に行ったりするよう指導する。
(25分)
- お辞儀ワークを行う。
- 会釈、敬礼、最敬礼のお辞儀の仕方のポイントを説明し、場面に応じて正しく実践できるよう促す。ゆかたの着心地を味わってもらう。(お辞儀ワーク)※2
http://ynu-satsumoto-labo.ynu.ac.jp/bow-work/index.htm
(10分)
- 正しいゆかたの畳み方を学び、片づけをする
- 小物などは、畳んで先に入れ物にしまうように指示する。
- グループごとに、教師及びATがゆかたの正しい畳み方の見本を見せながら指導する。
まとめ
(5分)- 本時のまとめを行う
- 本時のまとめを行い、次回の授業内容について伝える。
- アンケートの記入が終わっていない生徒には、次回の授業時までに、記入してくるように指示する。
評価
・ゆかたの特徴や、ゆかたを着ている時の自分の気持ちを捉えることができたか。
・自分自身でゆかたの着付けを行い、着付けの技能を習得することができたか。
教材データのダウンロード
授業の概要(PDFデータ)
注意事項・マニュアル(PDFデータ)
役割分担表(excelデータ)
浴衣サイズカウント表(excelデータ)
「お辞儀の作法」スライド(PDFデータ)
「ゆかたの着装実習ときもの文化」スライド(PDFデータ)